この Yamibou 自体のリクエスト センターが稼動している。http://yamibou.hound.jpへどうぞ。
一言でいえば:問い合わせメールの代替 + FAQ + 全文検索。
わからない? ではストーリーを語るとしよう。
スーザンは Web で通信販売を始めた。イタリア製の手芸用品を輸入販売する店だ。手芸用品には細かな特性がたくさんあるので、 すべてを Web ページの説明文に盛り込むことはできない。スーザンは、顧客からの問い合わせメールを毎日のように受け取り、 返答していた。
そのうちスーザンは気がついた――同じような内容の問い合わせが多い。顧客が考えることはみな似ているのだ。 そこでスーザンは FAQ をメモ帳で作り、FAQ に載っている質問に対してはコピペで返信することにした。
とはいえ実際にやってみると、同じような質問であっても微妙にそれぞれ違っていて、完全なコピペではうまくいかない。 でもそれは微妙な違いなので、もし顧客がスーザンの手元にある FAQ を調べていたら、きっと問い合わせメールをよこしたりしなかっただろう。
そこでスーザンは Web 上に FAQ を載せてみた。そしてスーザンはこの世の真理をひとつ確認した。真理:人は読まない。 読まれることは奇跡なのだ。まじめに FAQ と取っ組んでくれる顧客は、きっとゼロではないはずなのだが、 そういう顧客は問い合わせメールを出さないので、スーザンの目には見えない。
単純なわりに気も使うし手間もかかる回答作業を、いつまでも続けていかなければならないのか? スーザンは無力感に襲われた。
そこへさらに悪いことが起こった。顧客からの問い合わせメールが届かない、という事件が起きたのだ。その顧客は、 スパム送信が多いメールサービスを使っており、さらにメール文面のなにかがスパムフィルターの癇に障ったらしい。 問題の問い合わせメールはスパムフィルターにはじかれ、スーザンには届かなかった。しかし、スパムフィルターを外すことはできない。 問い合わせ先メールアドレスは公開されているので、毎日数百通のスパムメールが届く。このスパムの山のなかから正常なメールをよりわける作業を、 もしスーザンの目で行えば、おそらくスパムフィルター以上にミスを連発するだろう。
それに、スパムフィルターを使っているのは顧客も同じだ。スーザンからのメールが届かない可能性だってある。
そこで、リクエスト センターだ。
過去の問答集がそのまま FAQ となる。ただし、そのままでは人は読まないので、工夫が必要だ。
人は読まない。だが検索はする。少なくとも、10行以上の文章が読まれると期待するよりは、検索するよう誘導するほうが、 見込みがある。
これでスパムフィルターに脅えることはない。また、投稿内容は公開前にオペレータのチェックを通すので、 PageRank 狙いのスパム投稿にさらされることもない。
問い合わせを投稿した顧客は、RSSフィードを購読するか、あるいは(フィードを知らないのなら)ブックマークしたページをときどき開いて、 返答を受け取る。
問い合わせメールを書いて送るのは大変な作業だ。しかも返事を待たされる。リクエスト センターを検索するほうがずっと楽で、 すぐに結果を得られる。
スーザンは? 残念ながら、スーザンは悩みの種を別のところに移しただけで、不幸であることには変わりはない。 店を開いていれば悩みの種は尽きないので、ひとつ潰したところで状況は変わらない。リクエスト センターのおかげで店の利益が増える、という保証もない。 なにしろ、幸福になった顧客のほとんどは、まだ取引前の見込み客にすぎない。ただし、 問い合わせメールへの対応に使っていた労力を別のところでうまく使えば、利益が増えるかもしれない。
この単純なコンセプトからどんな怪物が生まれるか知りたい? では、アーキテクチャを読もう。
ビデオゲーム ヤミと帽子と本の旅人 に由来する。